元々内陸育ちの理由もあり、通勤時に海を一望できる八戸に移り住んでからは、魚介類のおいしさに舌を巻く一方で、職場の方々との会話に度々難儀してました。
訛りというか方言というか…
要は、、、
何を言っているのかわからない!
20代前半で前職を辞めて、職人になるべく見知らぬ土地に来た勢いもあり、土地柄、喋るスピードが早い日常会話はマジすか~とですよね~で乗り切ってました(と思う)。
しかし、仕事道具で『〇〇持って来~い』と言われると、もうヤバイ💦。
早口だし、なんて言ったかわからないから、それっぽいもの3つ4つ持ってって、「コレっすか~?」って渡してたっけ。
後から「コレなんて言いましたっけ?」とトボケタふりして工具の名前聞いてた。(今思うとバレバレだな)
どうも、SSメタルです!
早口より訛りより滑舌よりも、実はもっと厄介なことがありまして、それが溶接用語。
専門用語で何百種類もあるため、聞いたこともない言葉がたくさんありました。訛りとか関係無しにチンプンカンプン。
今回はそんな溶接用語に関する内容なんですが、まずはこの画像を見てください。
半自動溶接で矢印の方向に進んでいくのを前進法と言います。ティグ溶接でのトーチの進み方と同じですね。
続きましてこの画像。
こちらは後退法と言います。こちらは被覆アーク溶接と同じ進み方ですね。
この前進法と後退法、今まで聞いたことあるかと言われると、
一度も聞いたことねぇぞ
一度たりとも。
というわけで、今回は一度も聞いたことが無かった前進法と後退法の勉強です。
スパッタ防止にも一役買いますので、最後まで良く読んでみてくださいm(_ _)m
なお、右利き前提で話を進めさせていただきますので、ご了承ください。
溶接条件
- ステンレス鋼材はSUS316Lの板厚9mmを使用
- フラックス入りワイヤФ1.2mmSUS 316LT-1
トーチの角度、高さ
まずは基本をおさらい。
トーチの角度
下向きなので10°~20°程度でOK。
ノズルの高さ
高くするとアークは見やすくなりますが、シールド不足を起こしてブローホールが発生しやすくなります。
逆に低くするとノズルにスパッタが付着して、シールド不良を起こすことがあります。
なので、Ф1.2mmのワイヤであれば、15~20mm程度の高さが適正。
前進法の特徴
前進法では溶接線が見やすくビードが平坦になり、溶け込みが浅くなります。
溶接線が見やすいという大きなメリットがあるため、初心者の方は前進法から練習すると溶け込みがわかり易いですよ。
デメリットはスパッタ処理に手を焼く事。
後退法の特徴
後退法では余盛高さがやや高くなります。
そしてスパッタが少なめになるという大きなメリットがあり、溶け込みが深くなります。
しかし、溶接線がノズルで隠れてしまいます。
初心者の方には若干難しいのですが、スミ肉溶接でノズルを軽く置いたまま引っ張れば溶接可能、というのが大きなメリットです。
ビードが少しモッコリするのも特徴。
最後に
「押して溶接する」とか「引っ張って溶接する」など、なまっていても早口でもニュアンスでわかるんですが、前進、後退といった方がスッキリしますね。
今日から仕事仲間との会話で使ってみたい…とは思わないかもしれませんが(笑)、半自動溶接では、スパッタ処理の作業時間が全作業行程の20~30%を占めていますから、特徴だけでも知る必要があります。
トーチ角度の微調整にはフレキシブルトーチが有効ですので、興味のある方は『60秒でわかる半自動溶接 トーチボディ編』をチェックしてみてください。
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幸運なことにいくつかの自動遮光溶接面を使う機会をいただきました。正直な感想しか書いていません。
溶接用語、技術も法令も、少しづつ覚えていきたいものです。
未経験の人や言葉の通じない外国人実習生が、技術を覚える喜びや達成感を実感できるように、日々改良しています。
このままでいいの?溶接業界