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右手にトーチ 左手に期待値を

Tig溶接機: 水冷式と空冷式の違い

Tig溶接機には、空冷式トーチケーブルと水冷式トーチケーブルがあり、工場での高電流の溶接には水冷式の方がコスパ的に優れています。  

開発メーカーの執念とも呼べる技術が産み出す結晶は、確実にモノを造る我々サイドにもそのアツさが伝わってくる程です。

 

お陰さまで利便性の向上だけでなく、安全に作業できるようになったのも、機械や工具類の進化の賜物です。

 

Tig溶接機におけるトーチケーブルの水冷式と空冷式。今回はその違いを比べてみました。

1.空冷式トーチケーブルとは

一般的なトーチケーブルの事。

「Tig溶接機」と言えば、一般的に空冷式のことを指します。

  • 溶接電流、使用率が低い
  • 仮付け専門
  • DIY等で、自宅でちょっとした棚を作る

等の場合は、空冷式で十分でしょう。 

 

メリット

①初期費用が水冷式より安い。 

②軽くて扱いやすく、手首への負担が軽い。

 

デメリット 

①高電流での使用時間が長いほど、コレットやトーチヘッド等が高温により変色、変形してしまい、消耗品の交換頻度が高くなるためコストがかかる傾向にあります。

②上記条件で真夏の季節に使用すると、手に持つのも熱くなる時がある。 

 

2.水冷式トーチケーブルとは

循環装置を用いて冷却水を循環させることによりトーチの熱を下げる仕組み。

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循環装置から流れてくる冷却水がトーチケーブルを通り、柄の部分まで行き渡り熱を奪ってくれるので、持つ個所が熱くなることはありません。

 

使用する際は、Tig溶接機本体の他に、循環装置+水冷式トーチケーブルといった組み合わせになります。  

※循環装置はこちらを使用しています。

  

※コイルエレメント、フレキシブルカバーは水冷式では使用しません。

blog.sus-metal.com

  

水冷式のメリット

①長時間の溶接でもトーチケーブルが熱くならず、安定した溶接作業が可能

②安定した冷却効果により、コレット等の消耗品の耐久性がアップするため、コスト削減が可能

③工場等の屋内の平坦な場所では、その性能を確実に発揮する。

 

水冷式のデメリット

①屋外、広範囲等での作業には対応しにくい。

②循環装置のポンプ性能には高さ制限があるので、高低差のあるところは避けたい。

③初期投資が若干かかる。

④寒冷地では冬季に水道水が凍るため純正クーラントを使用し、1シーズンで交換。 

⑤メーカーによってはトーチケーブルが重たくなってしまう。 

 

 

以上の特徴を踏まえると、水冷式トーチケーブルの能力をフルに発揮できるのは、

工場内製作でのステンレス配管溶接です。

 

 

水冷式でもヘッドの角度は調整可能⇩ 

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ヘッドの角度調整が出来ないと、腱鞘炎になりやすい。

個人的な感想ですが、ウエルドテック製のトーチケーブルは軽くて使いやすく、使用者の体に負担が少なく高性能です。  

 

3.実際の費用対効果は?

水冷式トーチケーブルにすると、コレットやコレットボディ、トーチヘッドなどの消耗品の耐久性がアップすると記述しましたが、どれ程長持ちするんでしょうか?

 

私個人の記録によるザックリとした例ではありますが、一年間の使用数は以下のようになります。

  空冷式使用数(個) 水冷式使用数(個)
コレット 72 18
コレットボディ 36 6
トーチキャップ 6 2
トーチヘッド 3 1

 

空冷式220Aで、使用率を守りながら1日溶接した場合コレットボディは1週間程で、コレットは4日程で熱変形、変色してしまいます。

  

それが水冷式では、同じ220Aで溶接してもコレットは3週間以上は平気で持ちます。

 

例えば、

コレット一ヶ月分の消費量はというと

  • 空冷式 約6個/月
  • 水冷式 約1.5個/月

差引き4.5個で年間54個消費量が削減可能。

金額にすると一年間で…、

54個×740円(モノタロウ調べ)

=39,960円 

もの差が出てくるわけです。

 

一例ですがコレット一つとってもこの金額です。これが消耗品の全合計になると、かなりの金額になると思われます。

 

もし、空冷式から水冷式にしたい場合は、

①追加する循環装置、水冷式トーチケーブルにかかる費用と維持費を算出する。

②空冷式での消耗品の年間コストを算出。

最低でも①と②をもとに、水冷式に設備投資した費用が何年で回収できるかを検討するべきです。

4.最後に 

溶接職人の技術を生かす条件の中に、作業環境の整備が大きなウエイトを占めていますよね。

作業員のパフォーマンス性能及びモチベーションの向上に繋がるのであれば、いついかなる時でも現状の作業環境を見直す余地は充分にあります。

 

今回紹介した空冷式と水冷式における違いを見比べると、工場内での専門的な溶接作業には、水冷式がいかに向いているかをご理解いただけたかと思います。 

 

 

それではより良い溶接ライフを! 

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