ティグ溶接でアークが出ない時の三つのパターンを基に、簡単なチェック方法をまとめました。
1.トーチスイッチを押すと『ビー』と音は鳴るがアークが出ずにアルゴンガスは出る
【原因】
- アースの付け忘れ
- トーチスイッチの故障
最初にアースが確実に繋がっているかまずは確認します。うっかり八兵衛のごとく忘れていたり、締め付けが甘くアースが外れていると、この症状が出る場合があります。
アースが確実に繋がっている場合、次はトーチスイッチの故障が考えられます。
アルゴンガスが出るのでスイッチは正常に見えますが、スイッチの根元が切れかかるとこのような症状が出ます。詳細については 3-02 トーチスイッチ故障の原因を知る をご覧ください。
予備のトーチスイッチを付け替えて、正常に作動すればスイッチの故障。変わらなければ溶接機本体の故障を疑います。
2.トーチスイッチを押すとアークは出るがアルゴンガスが出ない(弱い)→酸化する
【原因】
- アルゴンガス元栓の開け忘れ。
- パワーケーブルやフレキシブルカバーの亀裂から漏れ
- アルゴンガスホース締め付け部から漏れ
まずは元栓の確認。
元栓が開いてればパワーケーブルの破損によりアルゴンガスが漏れている可能性が高いので、パワーケーブルを端から目視で確認します。
この時、フレキシブルカバーやトーチヘッドの亀裂にも注意して確認してみてください。
パワーケーブルに異常が無くても、念のために予備のパワーケーブルを付け替えて動作を確認します。
同じ症状なら、流量計の締め付け不足や、溶接機本体裏のホース締め付けを再確認します。
3.トーチスイッチの音もアルゴンガスも出ない。アークも出ず全てが無反応
【原因】
- 電源の入れ忘れ
- トーチスイッチケーブル断線
電源の入れ忘れといううっかり八兵衛にも負けず劣らずのうっかり具合を除くと、まず考えられるのはトーチスイッチのケーブルが断線している可能性が高いです。
この場合も、別のトーチスイッチを取り付けて動作を確認します。
症状が変わらなければ溶接機本体の故障が考えられます。
最後に
以上の3パターンを紹介しましたが、原因の元が
- トーチケーブル側なのか?
- 溶接機本体側なのか?
を、まずははっきりさせます。
単純に、予備のトーチケーブルを付け替えて症状が治ればトーチケーブルが原因となるわけですから、その後の対応も迅速になります。
とても単純な事ではありますが、慌ただしい作業中にトラブルになると、つい見落としてしまいます。
メーカーさんの技術の結晶ですから、そんな簡単には故障するような作りになっていません。そんな時は、うっかり何かを見落としている事で間違いないですよ。
仮に溶接機本体が故障している場合もあるので、まずはトーチケーブル側か溶接機本体側なのか見極める必要があります。
そのためにも、予備のパワーケーブル一式を在庫としてワンセット準備しておくと、チェックが簡単にできるので、いざというとき便利です。