JIS Z 3001「溶接欠陥」では不具合な状態を指す用語を「溶接部の欠陥」として取り扱っているので、当ブログでもそれに準じて「欠陥」について記述しています。
ピット
こちらは溶接欠陥の一つ「ピット」の画像。
溶接でグルっと一周した時に出来やすい欠陥。
原因は様々で、鋼材に付着していた油分、水分、またはアルゴンガスの乱流などにより溶接中に発生するガスや気体が行き場を無くして表面に浮きあがり、くぼみとなります。
表面がジンク(塗装)材の鋼材を溶接すると、
殆どが
ミミズが這ったような跡や、
小さな穴が出来てしまう。
これらの欠陥総称をピットと呼ぶそうです。
ブローホール
「ブローホール」とは溶融池内に入ったガスが凝固時に残存し、溶接金属中に閉じ込められて生じる空洞の事
参照元:JWES 溶接用語「ブローホール」より
溶接金属の中に空洞が閉じ込められてる状態なので、表面からはわかりません。
一見すると良さげなものでも、スラグを取ってみると、
クレータ表面がポッコリと。
グラインダーをかけると
中が空洞に。
これがブローホール。
ちなみに、ブローホールが浮かび上がり、溶接ビード表面に出来る小さな穴の事を「ピンホール」と呼ぶようです。ややこしいな
夏場の溶接なんかは暑くてとろけそうなので、体に送風機を当てながら作業するんですが、たまに溶接個所に風が当たってこんな感じに。
ああ、無残。
今までは「やべ!ブローした」と言ってましたが、今度から「やばっ、ピンホした!」って言わなければならなくなりました。
ピンホール
こういった欠陥はガス不足に多く見られます。
屋外などで風が強い時は要注意。
かなり奥の方まで空洞がある、、、
溶接欠陥補修について
塗装された鋼材の半自動溶接は、ピットの発生は防げないので、欠陥が出来るものだと割り切って溶接しています。
電流のシビアな調整やクレータ電流でバックステップするなどの細かい技術で、余計なグラインダーをかけない作業をすると作業効率がアップします。
終点からのバックステップ。
ミミズが這ったようなピットはこのままビードを重ねれば問題なし。
そのままティグ溶接でなめるのもあり。
配管などのレントゲン検査の場合は、もちろん上記の方法は通用しません。グラインダー、ガウジング等で奥の奥まで掘り下げてから再度溶接に。
【今回のおさらい】
- ピット…表面に出来た大きめの穴
- ブローホール…溶接金属中に出来る無数の空洞
- ピンホール…表面に出来た無数の穴。
以上、作業現場から溶接欠陥をお伝えしました。
それでは、より溶接ライフを!