「炭酸ガスアーク溶接」というのが正式名称ですが、「半自動」、「炭酸」、「CO2」などと一般的には呼ばれています。ガスシールドアーク溶接の一種で、電極にフラックス入りワイヤを、シールドガスに炭酸ガスを使用する溶接法。
溶接設備は、直流電源、ワイヤ送給装置、炭酸ガス(ボンベ等)、トーチなどが必要で、被覆アーク溶接より取り扱いがやや煩雑になる。
フラックス入りワイヤを使用する炭酸ガスアーク溶接は、被覆アーク溶接に比べて溶接速度が格段に速く、高能率な溶接施工が可能。
フラックス入りワイヤ
炭酸ガスアーク溶接に使用するステンレス鋼フラックス入りワイヤは、金属外皮の中にフラックスを充填したもの。
フラックスは被覆アーク溶接棒と同様、スラグ形成剤、アーク安定剤、クロム【Cr】、ニッケル【Ni】、モリブデン【Mo】などの合成剤の粉末からなっている。 合成材の種類や量を変えて、316、309など種々のワイヤを製造している。
ステンレス鋼フラックス入りワイヤの最大の特徴は、シールドガスに炭酸ガスを使用しても、ステンレス鋼に必要な低炭素の溶着金属が得られることである。
- ソリッドワイヤでは、わずかな炭酸ガスの添加で溶着金属の炭素量が増加する。
- フラックス入りワイヤではワイヤに含有されているスラグの働きにより、炭素量の増加が抑えられる。
シールドガス流量
炭酸ガスアーク溶接では、シールドガス流量が不十分であるとブローホールなどの欠陥が発生する。又、流量が多すぎても乱流となりシールド不良を起こしやすいため、シールドガス流量は、Φ1.2mmワイヤで20~25l/minが適正。
シールド効果は風の影響を受けると低下してしまい、風速1~2m/secを超えるとブローホールが発生しやすくなるので、つい立てなどの防風対策が必要となる。夏場の送風機等も溶接箇所に当たらないよう注意。
ワイヤの供給が早いため、溶接スピードが格段に向上する反面、2㎜以下の薄板溶接には不向きである。
亜鉛メッキは、表面をグラインダー処理すれば、溶接が容易になります。