被覆アーク溶接とは
溶接の特徴
溶接棒をホルダに挟むだけで全姿勢の溶接が可能で、薄板から厚板まで広い範囲に適用可能。
肉盛り溶接の溶接速度は炭酸ガスアーク溶接に及ばないが、多少の風雨では作業性が低下しないため、屋外の作業に最適である。
比較的設備費が安く、多少の塗料やメッキの上からでも溶接可能で使い勝手は容易である。
溶接棒の乾燥
ステンレス鋼被覆アーク溶接棒はプラスチックの容器に入っており、長期間保存可能だが、一度開封し長時間放置すると湿気により溶接作業性が低下するため、吸湿した場合は使用前に乾燥させなければなりません。乾燥時間が長すぎると被覆材に亀裂、変色が生じるので、メーカー推奨の乾燥時間に従うこと。
溶接作業の要点
ステンレス鋼は炭素鋼*1に比べて 電気抵抗が大きく、溶接電流により溶接棒の心線が過熱しやすい。そのため、溶接電流が高いと棒焼けを起こし、溶接作業が低下する。
同じ棒径の炭素鋼被覆アーク溶接棒に比べて10~20%低い電流を使用するのが良い。
溶接中はアーク長を出来るだけ短くするように運棒する。
ウィービング*2する場合は棒径の2.5倍以下にする必要がある。
ステンレス鋼の融点は1400~1450℃程度で、炭素鋼の融点1530℃程度に比べて低い。そのため、立向きや上向き溶接ではビードが垂れて凸型になりやすい。溶け込み不良などの溶接欠陥を防ぐには、かなりの技量が必要となる。