Project-Tig

右手にトーチ 左手に期待値を

Quest-00 ティグ溶接の初期設定と基本操作

ティグ溶接を始めるにあたり、以下の流れに沿って、簡単ではありますが説明していきます。

1.配電盤のブレーカーを上げ、溶接機本体の電源をONにする

本体前面に操作パネルがあるので、左上から「TIG溶接」、「クレータ有り」、「パルス無し」となっているか確認します。 

TIG溶接機のスイッチ配列

2.アルゴンガスボンベを開く

アルゴンガスのボンベを開いたら、同じく操作パネルに「ガスチェック」があるので、ぽちっと押します。流量計のガラス管の球が浮くので、つまみを回してガスゲージ流量を「10~12」に合わせます。 

TIG溶接流量計の目盛り
ガスチェックのボタンを戻すのを忘れずに。   

3.アースの確認

定盤にアースを取ると…、

ステンレスの場合は電気の抵抗率が軟鋼に比べて約7倍高いため、定盤(作業台)と溶接材の接地個所が熱を持つ場合があります。なので、溶接材と定盤は万力などで確実に固定させます。

 

溶接材に直接アースを取り付けた方がスパーク痕などのトラブルが減少します。 

ステンレス材に直接アースを取る場合は、不要なステンレス材などで、あてモノをしてアース側からサビが移らないようにします。

4.鋼材の確認

ステンレス鋼材表面の水分油分はアセトン等で、軟鋼表面の黒皮及び塗装部分はグラインダーで完全に除去しましょう。 これをしないと綺麗なティグ溶接が出来ませんのでしっかりと行ってください。  

5.溶接を始める~基本操作~ 

  1. スイッチを押す(初期電流)
  2. スイッチを離す(溶接電流)
  3. 再びスイッチを押したまま(クレーター電流)
  4. スイッチを離す(アークが切れる)

といった流れになります。

 

まず溶接条件の設定から。

f:id:ssmetal:20161212225142j:plain

  • No.8ノズルの場合、タングステンを7mm出す(画像くらいに)

  • No.6ノズルの場合、タングステンは4mm出す

  • 初期電流   50Aに設定

  • 溶接電流 100Aに設定

  • クレーター電流 30Aに設定

さあ、それでは

Let's 溶接('ω')ノ  

 

【初期電流】

f:id:ssmetal:20161216210059j:plain

母材(材料)にそっとノズルを置き、スイッチを押します。

タングステン先端と母材は絶対に接触させないこと
接触したらすぐに新しいタングステンと交換します。

 

スイッチを押したまま=初期電流のまま。
ノズルの角度を徐々に起こしていきます。慌てずに、ゆっくりでOKですよ。

タングステンと母材の距離が約2~4ミリのところで溶接電流にします。
 

【溶接電流】

TIG溶接 溶接電流90Aで溶接の練習をする

タングステンと母材の距離が2~4ミリのとこでスイッチを離し溶接電流にします。 

スッチを離すとき指に力が入ってると、反動でタングステンが接触してしまうので、トーチを持つ手がリラックスできるように腹式呼吸で練習しましょう。 

溶接電流でのタングステンと母材の目安の距離は約2mmです。

TIG溶接タングステンと鋼材の距離

 

【クレータ電流】

TIG溶接 溶接電流からクレータ電流にする

再びスイッチを押すとクレータ電流になります。 

手に力が入っていると、人差し指でスイッチを押したときの反動で、タングステンが鋼材に接触してしまうので、スイッチはゆっくり押します。 

 

クレータ電流でのポイント

①押しながら溶接箇所の外側に逃げる(クレータ処理)
②シールドガス(アルゴンガス)は最後まで充てること。

スイッチを離しアークを切ったら、1⇒2⇒3  と3つ数えます。 

溶接直後、アルゴンガスを充てずにノズルを離してしまうと酸化します。ティグ溶接において溶接欠陥である酸化は絶対にあってはならないもの。慣れるまでは必ず〘1,2,3〙と数えてガスを当てるてる習慣を身に付けます。 

ベテランの方でも、特に急いでいるときの仮付けはやってしまう時があります。グライダー処理して再溶接、という無駄な作業を増やさないようにアルゴンガスはしっかり当てること。 
また、クレータ処理は溶接完了時の欠陥防止のために行うものです。割れなどの溶接欠陥が無いか目視で確認します。 

 

以上が基本的な操作となります。 

溶接は覚えることが多岐にわたってありますが、焦らずに一つ一つ身に付けていきましょう。 

 逆引きでスッキリ一覧!工場溶接で使えるPro‐Tig流実践ワザに戻る