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Tig溶接でLV.99を健康的に目指すブログです。 春ですね!

【ステンレスVS最強ドリル】~最適化は回転数、下げスピードと冷却水~

 連日コロナの報道が多くなっていますね。

 卒業式を控えた親御さんは不安だろうし、年配の方や小さなお子さん、妊婦さん方に至っては、何事もなければいいなと願っています。

  健康だけが取り柄の私。そんな私に出来ることは後続の踏み台となる当ブログの更新だけなので、今回もコツコツと更新していくことにします。

 

 今回の内容はステンレスの穴開けとなります。

 ステンレス(SUS316L)厚さ10㎜のパイプに径14㎜の穴を開ける作業だったので、ポイントを振り返ることに。

blog.sus-metal.com

 40歳を過ぎると時間の経過がサイボーグ009の加速装置みたいにあっという間。なので記録を残しておくと、いざというとき役に立ちます。あとは勇気だけだ!by 島村ジョー

 ちょっと何を言っているのかは定かではありませんが、細かい作業の流れはコチラ⇧の記事を確認していただくとして、前回よりも私自身か新たに気付いた点が多々あったので、追記も含め「ステンレスVS最強ドリル」としてまとめました。

なぜステンレスは穴開けがしにくいのか?

 普通の鉄は、ステンレスよりも柔らかいと言われていて、ホームセンターで売っている「鉄工用ドリル」で穴を開けることができます。

 一方、常温のステンレスは鉄よりも硬いと言われていますが、実は鉄よりも粘りがあり柔らかい性質があります。しかし摩擦熱等により高温になると「加工硬化」といって表面の組織が変化し硬くなってしまうので、何個か穴をあけていくうちに、ドリルがまったく切れなくなってしまいます。

 

 また、ステンレスのもう一つの特徴として「熱伝導率が低い」ということが挙げられます。

 熱電導率とは文字通りで、熱の伝わる速さのこと。

 熱伝導率が高い鉄は、ドリルとの摩擦熱が鉄全体に伝わり熱がこもりません。

 一方、熱伝導率が低いステンレスは、ドリルとの摩擦熱がステンレスとの接触部分に継続してこもるので、高温になったステンレスにドリルの刃が入らず、最終的にはステンレスもドリルも焼けて切れなくなってしまいます。

 したがって、『鉄よりもステンレスの方が穴を開けにくい』 ということになるんです。

 

 この解決策は、①回転数、②下げスピード、③冷却の3つの条件を揃えればOKです。

①回転数→ボール盤の調整
②下げスピード→ドリルの確認
③冷却→冷却水の選定

 逆にこの3つが揃っていないと、いかに最強のドリルとはいえ、すぐに切れなくなってしまいます。 

ボール盤の回転速度調整

 どんなに切れ味の良いドリルがあっても回転が早すぎれば、すぐにドリルが焼き付いてしまいます。回転が遅くてもドリルが入っていきません。そこで、まずはボール盤の回転速度を確認します。


 ボール盤で回転スピードが一番速いのはモーター側のベルトが一番上になる状態。

ステンレスに穴開け
 

 回転スピードを一番遅くするには、モーター側のベルトが一番下になります。

ステンレスに穴開け

 

 仮に6㎜のドリルでステンレスに穴を開ける場合、ドリル回転数の推奨は500となります。

ステンレスにドリルで穴開け

なので、ボール盤の回転数を「3」にセットすればOKとなります。

 

ステンレス最強ドリルで穴開け

 モーター側のベルトを上から三番目にセッティング。

 

 これは推奨の回転数なので、プラスアルファの要素としてドリルを進めるスピードが重要になってきます。 

ステンレスに穴開け
切れ味の悪いドリル

 いくら切れ味の良いドリルで適切な回転速度でも、むやみに押し進めると画像右のように黒く変色し、まったく切れなくなります。
 

ドリルを進めるスピード 

 まず、切り始めの刃の食い込みを良くするために、ポンチは大きめにします。 

 

 ドリルを進める目安としては、螺旋状の切りくずが、、、

ステンレスにドリルで穴開け

⇧このくらい出たら一旦ドリルを上げ直し、また静かに押し下げて進む、の繰り返し。

 ドリルの切れ味が悪くなると、切りくずが螺旋状にはならずに細かいカスとなって出てきます。⇩

ステンレスにドリルで穴開け
ステンレスにドリルで穴開け
左:切れ味良好 右:切れ味が悪い

 

 ドリルの切れ味が悪くなる原因として、一つはドリルの先端が欠けてしまうことにあります。一番多いのが最初と最後。

ステンレスにドリルで穴開け

 切り始めを優しく慎重に進め、刃が当たったらグイっと力を入れることで刃の欠損を防ぐことができます。

 最後の貫通する瞬間も、静かにドリルを押し進めることで切れ味をキープすることができます。

 慣れてくると、刃が引っ掛かる感触が手に伝わってくるのでわかるようになります。

 

 切れ味が悪くなったら、一旦ドリルを研ぎ直し。

ドリル研ぎ方

①刃先の角度、距離を揃える
②逃がし角度は水平よりやや下げる
③シンニングを忘れずに

①刃先の角度、距離を揃える

f:id:ssmetal:20181114203602j:image

刃先の角度は118度とありましたが、目視でも充分です。

目視でわからないときは間に合わせの定規を

 

②逃がし角度は水平よりやや下げる

ドリルの研ぎ方


 

③シンニングを忘れずに

ドリルの研ぎ方

  

 話は少しそれますが、径14㎜等の穴を開ける場合は、いきなり14㎜のドリルで開けようとすると絶対に刃が持ちませんので、径6㎜→10㎜→14㎜といったように段階的に穴を大きくしていきます。

 

 切れ味が悪くなる原因のもう一つが、冷却不足です。

 ドリルを押し進める間は、常に冷却水を流します。冷却水はその名の通りにドリルとステンレスの摩擦熱を冷却してくれるもので、冷却水は必要不可欠です。

冷却水は油性と水溶性

 冷却水には大きく分けて油性と水溶性があり、ステンレスの加工では常にかけっぱなしとなるので使う量は多くなります。冷却性能はどちらも同程度です。

 油性は缶スプレータイプが多いので、ピンポイントで簡単に冷却出来るのがメリットですが、加工数が多い場合、水溶性に比べてコストがかかるのと、後処理にアセトンで拭く等の手間がかかる、といった理由で使用していません。若干臭いもキツいです。

 

 水溶性は作業性、コスト、冷却性能など今のところ申し分ありません。

最後に

  • ドリルの適切な回転数
  • ドリルの下げスピード調整
  • 冷却水の適切な選定

 以上の3つの条件を押さえて作業すると、ステンレスパイプ10㎜に径14㎜ドリルで穴を開けても、一度も研ぐこと無く連続して40回以上の穴開けが可能です。

 市販のステンレスドリルは素晴らしい性能を持っており、ドリルの環境を整えることがドリル本来の切れ味を最大限に引き出せることになります。

 

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