こんにちは。SSメタルです。
溶接の仕事を始めて十数年。
職業病が多くみられるこの溶接業界で、これまで様々な溶接作業による災害を目にしてきました。中でも自身で経験したものは、少しでも皆さんの参考になればと思い弊ブログ内で度々アップしてきました。
今回の記事は溶接作業をしている方すべてに向けて、またこれから溶接を始められる方へ向けて、溶接作業ではこんなリスクがあるよ~とまとめたものになっております。
単なるお節介な記事なので、親戚のおじいちゃんおばあちゃん達から、「入れ歯だと全然美味しくないから、歯を大事にするんだよ。」と言われてる感じで読んでみてください(笑)
1.目を焼く
溶接した夜から朝にかけて、あれ?何か目がヒリヒリ、ゴロゴロすると感じたらほぼ目を焼いています。
放っておけば良くなるのですが、「目」に関することなので知らないと不安になります。
溶接でいつの間にか目を焼く原因と対処法
アーク光を目に入れない事が肝心です。
2.目に刺さる
作業に慣れてきた頃にやってしまいます。サングラスでは隙間から入ってくるので確実にゴーグルを。
会社に迷惑はかけられないなんてことは言わずに病院へ行きましょう。
目に鉄粉が刺さる
溶接業界では、これらの長年の視覚障害が蓄積されると白内障を引き起こすといわれてます。
3.難聴、耳鳴り
ストレスなのか騒音なのか、ハッキリとした原因を特定するのは難しいと思います。ある日突然やって来ました。
朝起きたら右耳に違和感【突発性難聴の注意点】
今でも目を閉じるとキーンと鳴ってますね。生活に全く支障はありません(鈍感力バンザイ)。
【絶対に欠かせない耳栓】鉄工所勤務の耳鳴り事情
加齢と割り切って、今更ながら耳栓してます。
4.火傷、打撲
溶接による火花や紫外線による火傷、ハンマーで指を叩いたりと、この辺は怪我をして覚えることが多いですね。怪我した経験が蓄積され防具や体の使い方に繋がります。
皮膚の慢性的な溶接焼け
5.じん肺
溶接中は必ずマスクをするように指導されますが、暑くなると汗やら何やらでまあ、その…、うっとうしいんですよね。
溶接ヒュームでじん肺が心配!
溶接仕事を長く続けるという人は特に、長期間に渡ってフィルターを清潔に保つと安心できます。
【防塵マスク】知ってる?フィットチェッカーとメリヤスの関係性
なぜマスクをするのかは重要な事ですが、現在使用中のマスクの能力が本当に100%発揮されているかもメチャクチャ重要な事です。
6.亜鉛中毒
これも前もって知っておかないとパニクります。
7.腰痛、腱鞘炎
30歳代後半から周囲の腰痛、関節痛、残尿感の話題が多くなってきてます。TIG溶接や半自動溶接、被覆アーク溶接のトーチやホルダーは一見すると軽そうに見えますが、何も知らずに長時間使用するとケーブルの重さが手首にジワジワと効いてきます。
【溶接する前が9割】正しい構えは腱鞘炎予防に
「職業病」では終わらせたくありません。
溶接アーク光を浴び続けて十数年の肌画像
溶接の勲章では済ませたくないんだよなぁ。
8.そして一番の問題が…
こうして一覧で見ると溶接の仕事は健康リスクしかねぇじゃん、て思うんですが、これらは全て解決策があります。そこにコストをかけれるかどうかというのが一つの問題と、安全教育を受けても個人単位での安全意識が薄れてしまい、保護具などの対策がズボラになるというのがもう一つの問題だと思うんです。
そして最大の問題は知らない事です。
個人経営の会社などに多いのですが、『新人入社⇒即作業』となり、肝心の新入社員教育が疎かになっているのが現状です。アーク光や鋼材などの重量物、車両や工具などなど、デスクワークとは全く異なる業種なので、安全教育すらない個人経営の会社に入ると将来健康面で苦労する可能性が高いです。
こんな会社に入るな!給料以外に確認する3つのコトを現役溶接工が告白
人材不足の最中、経営サイドも今搾取することだけを考えないで、一人一人に細く長く働いてもらう➡結果的に会社の利益になる=両者WINWINみたいに、上層部はもっと上手くやれよというのが本音。
9.最後に
保護具の正しい使い方。油圧機械の正しい使い方。正しい作業姿勢などなど。我々にとって必要なのは、まずは健康・安全について自身で知るということです。
過去の災害事例や健康リスクを知ることで職場に反映され、安全、健康が保証されます。
今日の健康安全は今の自分が作る
今回の記事の中で一つでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
ではでは、より良い溶接ライフを!