「溶接初心者を卒業する」のカテゴリーでは、溶接初心者を卒業するために、知識として覚えるべきことを記事としてまとめています。
今回は立向き溶接の下進に関する内容です。
溶接方法の一つに、上から下に流す溶接というのがあります。
基本は下から上に溶接する
まずは基本からおさらいしましょう。
立向きで溶接する場合は、下から上に登っていく溶接が基本で、カチ上げや上進と呼ばれていますね。
簡単に説明すると、下から上に溶接を行い、鱗を重ねるように登る溶接のことです。アークを切りながらリズミカルに登っていくので、下向き溶接に比べれば難易度はやや高くなります。
上から下に流して溶接すると…
下から上に登っていくのが基本と説明しましたが、こちらはステンレスを上から下に向けて溶接した画像です。
基本を無視しています。
スラグを取ると…、
一見綺麗に付いて見えますが、肉厚が薄く、構造上においての強度が非常に低く、脆いのが特徴。
上から下に流して溶接すると、溶接中にプール(溶融池)が垂れ下がってくるため、本来の溶け込みが得られません。
さらにステンレスの流しでは、溶接後に熱が冷めてくると、細い割れ(クラック)が生じる場合が多々あります。
しかし、次のように上から下に流す溶接が可能となる特殊条件があります。
上から下に流す場合の条件
下から上に登る溶接を上進法と呼ぶのに対し、下に流すことを下進法と呼びます。下進には専用の溶接棒があり、職場にNSSW-16Vがあったので今回はこれで。
鉄用の溶接棒を使って、、、
下進法で溶接しました。
溶接棒は封を開けるとすぐに吸湿を始めるので、専用の乾燥機で保管するのをお忘れなく。
今回、一番最初に溶接したものです…。
電流が強かったようで、アンダーカットしてます。欠陥ですね。
溶接鋼材を反転させて溶接しやすい下向きで溶接出来れば問題ないのですが、複雑な製作物や現場作業等では溶接姿勢が限定されるので、下進専用の溶接棒を使用し溶接することがあります。また下進法では、上進法に比べて溶接スピードが2倍ほど早いのが特徴です。
【立向き溶接のポイント】
- カチ上げ(上進)が基本
- 流す場合(下進)では専用の溶接棒を使用する
ではでは、より良い溶接ライフを!