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右手にトーチ 左手に期待値を

溶接歴、浅い人の方が上手くなりやすい理由

今まで多くの職人見習いに溶接技術を教えてきましたが、正直に言って、溶接歴が浅い人の方が技術は上がりやすいです。

どんな業界でも経歴や実績は重要なことだと思いますが、溶接に関しては溶接歴は重要ではありません。

 

じゃあ何で「歴」が必要ないかっていう話なんですけども、僕が溶接業界に飛び込んでいろんな人から教えてもらってた頃、10年20年経験した人から「簡単には上手くなれんぞ」 ってめっちゃ馬鹿にされてた時期があったんです。

 

ただ別に何とも思わなかったんですよね。


その人の溶接ビードは 全く綺麗ではなかったし、僕が現場監督時代に現場で溶接職人さんの生の溶接ビードっていうものを数多く目にしてきて、「溶接ビードってのはこういうものなのか」っていう考え方が染み込んでたんですよね。

僕を馬鹿にしてきたベテラン選手は明らかに平均的な技術より下でした。

 

結局僕をバカにしていた10年20年の経験者も、いつのまにか職場から消えていたりしてましたから、特に歴っていうの本当に関係ないな、とは思うんですよね。溶接に関しては。

ただ、歴の中でも この歴は大事だなっていうものがあって、それは何かと言うと、


正しい情報を持って溶接した歴


が、めちゃくちゃ大事なんじゃないかなと思ってます。

 

よく10年20年のベテラン職人さんの話で、過去の武勇伝とか失敗談の話を聞くのが好きなんですが、


例えばステンレスの溶接が終わって、仕上げに間違って鉄用のカップブラシを使って全面錆びだらけになったw。

 

とか、

 

同じ配管の溶接で50箇所もの数を溶接で巻いたところ、検査で一発OKだったぜい(ドヤ)!

 

みたいな話って、聞いてるとめっちゃ面白いんですよね。

 

USJのあそこのレールの反対側のピースを溶接したの俺。みたいな話聞くのはやっぱ面白い。好きなんです。

 

こういう話をされるにはいいんですけど、たまに「溶接とはこうだ」みたいな話を溶接が下手な人にされるんですよね。

 

、、、それはもう全く聞きたくないっていうのが正直な意見です。

 

こういう人ほど、溶接が上手くなれない、上手くなりにくいと思ってるんですよ。なぜかといえば、溶接がたいして上手くないのに「いや、だから溶接とはこうだ!」っていう考え方がガチガチに固まっているんですよ。かなりガチガチに

 

この10年20年積み重ねた考え方を矯正するとなると、めちゃめちゃ時間がかかるんです。

 

以前、50代の職人さんで溶接歴がそれこそ20年以上になる人と仕事した時に、《溶接→ガスであぶって曲がり取り》の工程があったんです。

「これ、こっちから溶接していけば曲がり取り必要なくなって短縮されますよ。」って言ったら、

 

『俺はこれで長年やってきてるんだ。いいからやれ。』とマジ顔で。

 

結局、ガスであぶっても曲がりが取りきれなくてローラーかけて直した事があったんです。溶接脚長が大きく、余計な熱が加わりすぎたのと、外に逃げていく溶接ではなく、外から中に向かって溶接したのが原因です。

 

こういった、なんで?って思うことが時々ありました。

 

そういう人にも考え方を柔軟にする対処法ってのが一応あるんですけど、それは、今の時代って無料でめちゃくちゃ価値がある情報がいっぱいあるということです。

 

例えば僕のこのブログ(ちょっと自分をアップしてるみたいで気持ち悪いですけど。まあ無料にしては多少なりともプラスに転じている考え方になると思うので多目に見てね)。

 

あとは実際に溶接職人さんのブログや動画とか。

いろんなものをタダで見れるのでたくさん見て、考え方を柔軟にほぐしていく。自分の技術を上げるために、自分の技術を上げるための思考法を取り入れることで柔軟になる、ということが解決策だと思います。

 

ちょっとここで注意なんですが、「有料で価値のない情報もある」ということもお忘れなく。 

 

たまにネット上で、「溶接技術を有料で教えます」みたいな、見るからに怪しい のが出てくるんですが、実際に僕が現に情報を買わずして溶接で生計を立ててきているので、まあ僕の周りもそんな情報をお金出してまで買わずしても、成り立っているので無くてもいいんじゃないかと思います。

 

ここで本題に入りますが、

では、なぜ溶接歴が浅い人が上達しやすいのか?

 

簡単な話なんですが、それは教えたことをそのまま吸収してくれるからです。 

 

溶接経験10年以上の30代と、今まで溶接を1度もやったことない30代を同時に雇った時期があったんですが、

 

経験者の方で

「自分は前の職場でこのやり方で教わってきたから、これでやります」

っていうスタンスの人は、やっぱり伸びません。

 

逆に何も知らない未経験の30代の方が、最初こそ手こずりはしますが、長い時間で見た場合、必ず経験者よりトータルで良い結果を残します。

 

 

すぐに吸収できるか、それとも一度否定して吸収できないかの違いだと思います。

 

 

だから溶接経験のない人は僕の言ったことを吸収してくれるんですよ。

溶接歴、浅い人の方が上手くなる

 

今日伝えたかったのは、

自分で溶接が下手で何で上手くならないんだろうと思ってる人は、上手くなるための考え方をリセットするべきということです。

 

自分の培ってきた経験や情報をリセットすることはなかなか難しいです。ただ本気で少しでも早く上達したいんだったら思い切って今の考え方を全部捨ててください。そして信頼できる情報をしっかり取り入れることです。 溶接が上達しやすい情報を僕は発信しているので、僕のブログを理解することができたら今より確実に上達します。

 

溶接で上手くなるには簡単です。

 

まずは自分に合った姿勢で溶接すればいいだけで、自分の溶接しやすい高さ、向き、体の姿勢、こういったことを常に意識して溶接をしていくこと。そして失敗を成長の糧として捉えてくれる職場であること、なんです。そうすれば誰でも上手くなるものなんです。

そして、失敗してしまった者に対してミスの理由を厳しく責めるよりも、お前のミスは俺が全部フォローする。お前もいつか後輩のフォローできるような職人になれという空気を作って見守っていく人との出会いや職場環境に巡り合うほうが、上達は早いように感じます。

 

今回はちょっと長くなってしまいましたね。
ではでは、より良い溶接ライフを! 

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