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右手にトーチ 左手に期待値を

2021年保存版【トーチ部品名称と交換時期】ティグ溶接

ども、ティグ溶接16年を超える経験者のSSめたるです。

・ティグ溶接部品にはどんな種類があるの?

・どうなる前に交換すればいいの?

・使用時のポイントは?

と疑問をお持ちの方の悩みを解決できるようにまとめました。

 

 これからティグ溶接の基礎知識を身に付けるために『ティグ溶接トーチ部品名称』について解説しますので、是非ともじっくりと読み込んでみてください。

ティグ溶接機には空冷と水冷がある

 まず基本事項として、溶接機には空冷式と水冷式があります。空冷式は溶接機本体のみでトーチケーブルの熱をそのままで放出するのに対し、水冷式はトーチケーブル内を冷却水が循環し熱を逃がします。

 空冷式は溶接機本体のみ(標準)。水冷式は冷却水のタンクが付いている、と覚えましょう。

ダイヘン溶接機水冷式

空冷用の部品と水冷用の部品でリストを作成してあるので、画像よりそちらをご覧になりたい方は、記事の最後の方へ進んでください。

1.ノズル

ティグ溶接ノズル

ノズルの種類はNo.4、5、6、7、8まであり、番号によって径が異なります。 

  • No.4・・・2㎜程度の薄板
  • No.6・・・一般的な標準サイズ。
  • No.8・・・脚長を出したいときに使用。

交換時期は変色&欠けた場合。

新品に変えると溶接時の溶け込みが断然良くなります。

 他にも、ロングノズルなど様々な種類があり、複雑な溶接個所などの状況に応じて使い分けます。  

2.コレットボディ

ティグ溶接コレットボディ ダイヘン

2.4mmの標準サイズでは、60A~220Aまで溶接可能。

高電流で溶接すると徐々に黒ずんだ色になるので、時々ブラシで表面のススを落とすと長持ちします。 

3.コレット

タングステンを挟むやつ

ティグ溶接コレット ダイヘン

こちらも長く使用していれば、黒くススけてきます。しかし、それ以上に気になるのがコレットの口が閉じきってしまい、タングステンの出し入れがメンドクサクなってしまうこと。

コレットの口先をわずかに広げるだけで、ウェルパーを使わずにタングステンの微調整が簡単にできます。

4.トーチヘッド

ティグ溶接トーチヘッド

標準角度は70度。交換頻度は少なめ。

 交換するときは、コイルエレメントをスパナ等で固定させてからトーチヘッドを締め付けます。手だけで締め付けると、徐々に緩んできて、溶接中にノズルが90度回転してしまいます。

 サイズは標準タイプと小タイプがあります。小さいタイプのトーチヘッドは配管50Aの管内等の狭い場所の溶接に最適です。

ストレートタイプもあるので用途によって使い分けします。

ティグ溶接トーチヘッドダイヘン 

5.トーチキャップ

ティグ溶接部品 トーチキャップ ショートとロング

 トーチキャップにはショートとロングがあり、ショートは狭い場所での溶接に適しています。 

 溶接直後の高温時にキャップの開け閉めを繰り返すとネジ山が悪くなるので、回してキツイようなら交換時期。 

6.フレキシブルカバー

ティグ溶接フレキシブルカバー

 溶接時、「ガスの出る音が聞こえるのに酸化してしまう」といったときは、このフレキシブルカバーが裂けている可能性があります(経験済み)

 耳を澄ますと確実にガスの音が聞こえるのにノズルからアルゴンガスが出ない場合は、フレキシブルカバーに裂け目が無いか確認します。 

フレキシブルカバーは空冷式専用部品です。

7.コイルエレメント

ティグ溶接コイルエレメント

 スプリング状の構造でトーチヘッドの角度を自在に変えることが可能です。 

自在に角度を変えれるとはいえ、何度も繰り返すとスプリングがポッキリ折れてしまいます。

空冷式トーチケーブル専用部品です。 

8.トーチスイッチ

ティグ溶接トーチスイッチ

 故障の初期症状として、スイッチの根元が接触不良でオン、オフの切り替えが効かなくなること。

 溶接終わり際、クレータ電流からアークを切ろうと指を離しても溶接電流に戻ってしまいます。

スイッチを押せども押せどもアークが切れない。

こんな時は迷わず交換してください。

ティグ溶接トーチスイッチ

 スイッチのみ購入することも可能(新品の場合はケーブルがセット) です。

9.タングステン

全長は15㎝。

ティグ溶接タングステン

 15㎝のまま使用する場合はロングのトーチキャップを。複雑な溶接個所でショートキャップを用いる場合は短いタングステン使用します。 

 タングステンは研磨角度によって溶け込みが変わりますが、この話はまた別に機会に。 

10.ボールスリーブアセンブリ

水冷式トーチケーブル専用部品です。

ティグ溶接水冷式ボールスリーブアセンブリ

ボールジョイントとも呼ばれます。
ワンタッチでトーチヘッドの角度を広範囲に変えられます。 

11.トーチボディ

コイルエレメントとパワーケーブルを繋ぐ部品。

ティグ溶接トーチボディ

150A用と200A用が主流。画像は20A用。

 交換する事はほとんどありません。というより、その存在に誰も気付いてくれないことが多いですね。 

12.ガスレンズ一式

ティグ溶接ガスレンズ一式

標準ノズルではアルゴンガスに少量の空気が混入してしまいます。

しかし、ガスレンズを使用することによりアルゴンガスが直線的に、しかも強力に流れるため空気の混入を防ぎます。結果、高品質な溶接金属が得られるという仕組み。 

  • ガスレンズ用ノズル
  • ガスレンズ用コレットボディ
  • インシュレーター
  • カップガスケット(トーチヘッドの先の白いやつ)

以上でワンセット。 

13.トーチケーブル

空冷式と水冷式があります。

 空冷式トーチケーブルは軽くて扱いやすく、水冷式トーチケーブルは長時間の安定した溶接アークが得られます。

 どちらにも歴然としたメリット、デメリットがあるので、基礎知識として『存版【空冷式と水冷式の違い】ティグ溶接機トーチケーブルの比較』をご覧ください。

 

【ティグ溶接部品 空冷水冷共通リスト】

コレット

コレットボディ

ノズルNO.4

ノズルNO.6

ノズルNO.8

ガスレンズ用ノズルNO.4

ガスレンズ用ノズルNO.6

ガスレンズ用ノズルNO.8

ガスレンズ用インシュレータ

ガスレンズ用コレットボディ

トーチヘッド

トーチキャップ(ショート)

トーチキャップ(ロング)

フレキシブルカバー

タングステン電極

トーチスイッチ8m(コード含む)

トーチスイッチのみ(コード含まない) 

【ティグ溶接機 空冷用リスト】

コイルエレメント

トーチボディ

パワーケーブル200A用

パワーケーブル150A用 

【ティグ溶接機 水冷用リスト】

ボールスリーブアセンブリ

ケーブルカバー

排水ホース(赤タグ)8m

給水ホース(青タグ)8m

ガスホース(黒タグ)8m

冬流水 MAF-15

 

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トーチスイッチの故障事例と交換時期

ティグノズル【ガスレンズの威力を検証】タングステンを限界まで伸ばす

 

 

 すぐにでも『ティグ溶接のコツ』を知りたいという方は『溶接初心者を卒業する!』にも目を通してくださいね。

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