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右手にトーチ 左手に期待値を

先輩、20年前のJIS溶接試験受験の手引きですが…先行き不安な溶接業界にパチンカス先輩が物申す

先輩…造船所勤務の溶接工。パチンコパチスロ資金は給料前借り

後輩…先輩と同じ会社の営業職。

 

 

先輩が初めてJISの溶接試験を受けたのはいつ頃ですか?

 

あれは俺がこの世界に足を踏み入れて、確か… 

 

あ、遠い目は結構ですよ。 

 

一年目には手溶接の裏波受けてたな。 

 

初めての試験で、いきなり裏波受けて、うまくいったんですか?

 

それが、全っ然ダメ!

 

まさか先輩が緊張したとかですか?

 

裏並み出すには、一層目だけLB52-Uっていう棒を使うんだけど、職場で渡された棒がLB52で、全然裏波出なくて、 

 

それで落ちたんですね。 

 

ちゃうよ。隣の知らないおっちゃんが貸してくれてな。 

 

へ~。めちゃくちゃ優しい人もいるんですね。 

 

そうなんよな~。
そんで、二層目溶接しようとしたらB-14の溶棒が、4.0㎜持ってきたつもりが3.2㎜で、

 

3.2㎜じゃ細すぎですよね。試験片のところでビード止めると、繋ぎ目の溶かし込みが難しくなりますもんね。

 

それがな、またまた隣のおっちゃんから貸してもらってな、 

 

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悪ぃ悪ぃ。
結局、最終層で、どこ溶接してるのかわからなくなって、蛇行して、外観アウト~! ってな感じ。

 

そうだったんですか~。惜しかったんですね。 

 

まあ、その後の追試で何とか合格。 

 

僕はすぐに営業に回されたんでわからないんですが、筆記試験は簡単でしたか? 

 

う~ん、あんまり記憶にないな。 

 

実はさっきまでこれ見てたんですよ。

JIS溶接試験受験の手引き




おぉ、JIS溶接試験の手引き。
めっちゃ懐かしいやん。ティグ用のやつか。

 

出展は産報出版
一冊は平成22年版で、もう一冊は平成15年版です。 

www.sanpo-pub.co.jp

 

オーステナイト系がなんちゃらとか、フェライト系がどうたらとかめっちゃムズいやつやったな~。
後ろの問題集だけ何回も解いてたら受かるやつ。

 

今から20年以上も前の本ですが、ちょっと気になって、今と変わった所がないか調べてみたんですよ。

 

お前も暇なやっちゃな~。
んで、何かおもろいことあったの? 

 

面白いかは別として、ちょっとびっくりすることがあったので紹介しますね。 

JIS溶接試験の受験の手引き、20年前と何が変わった?

 

結論から言うとですね、ほとんど、
99%変わっていません。 

 

は? 

 

唯一変わったところが、
【評価試験受験申込先、問合せ先一覧】
で、最後の4ページだけですね。
他の1ページから276ページまで、一文字一句同じです。 

 

・・・ ?

 

変更されてた【評価試験受験申込先、問合せ一覧】の中で、青森県では、溶接協会が八戸市沼館から青森市原別に移ってますね。 

 

どうでも良くて草。

 

先輩、溶接協会のおばちゃん元気かな~って気にしてませんでしたっけ?

 

 

懐けー。あのパンチパーマのおばちゃんな。そりゃ気になってたけど、お前の言ってる99%変わってないってことが、マジわからん。どういう意味?

 

どこがビックリなん? 

 

イイですか先輩。
ここの20年の間に、世の中ではスマホが一気に普及したり、震災があって耐震強度が改正したり、平成から令和に元号が変わったりと様々な時代の変化がありました。

 

それなのに、JIS溶接試験の中身は変わってないんですよ?
20年前と同じ記述で進歩も無いっていうのは、いま現在、溶接業界が停滞している状態そのものじゃないですか。

 

う~ん、、、


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そうなんですか?

 

ちょっと長くなるけどええか?

 

ダメですよ。手短にお願いします。

 

わかった。

 

 

アーク溶接の原理は1800年代には既に確立されててな、産業革命の後な。

 

 

①エネルギーを一点に集中させて超高熱により金属を溶かす
②添加材を加えてより強固な金属にする
これが一般的な溶接の仕組み。

 

はい。

 

アーク溶接が日本に入ってきたのは確か、、、1800年代後半の明治時代あたり。

 

 

この頃から日本では、敗戦するまでの期間、約50~60年間で、特に造船所での溶接技術が飛躍的に発達したらしいで。

 

軍需産業一色でしたからね。

 

当時、日本国内で飛躍的に溶接技術が発達したとはいっても、敗戦国の日本と大国アメリカとの当時の溶接技術の差は、30年も遅れていたというから、戦争も負けるべくして負けたんやろな。

 

スピードだったら、手溶接では半自動にかないませんからね。

 

数も人も圧倒的に足りんしな。

 

 

ただ、こっからが日本のヤベーとこで、アメリカに追いつけ追い越せで、あっという間に戦後復興し、それと共に溶接技術も進歩したわけ。

溶接技術の推移

 

戦時中より戦後のほうが伸びてますね。 

 

将来的には、電気に替わるエネルギーが出てきて、省エネ溶接みたいなのは来るかもしれんけど、おそらくこの先も 溶極式、非溶極式は変わらんし、溶接機の構造そのものも変わらんと思うで。

 

 

確かにお前の言う「時代の変化」は起こってる。ただ、それは戦争のない平和な時代だからやな。

 

となると、ここ20~30年の溶接業界は衰退ではないと先輩は見てるんですね。

 

 

俺はそう思ってる!

 

 

歴史を振り替えると、戦争が盛んな時代は技術や科学が進歩して、平穏な時代は芸術や文化が栄えるからな。

 

だから、20年前と問題集が同じでも、心配せんでもええよ。

 

 

・・・

 

それどころか、ここ20~30年の間に溶接に関するリスク管理や環境設備が充実してきて、俺らの労働条件は確実に良くなってる。昔は酷かったで~。

 

 

…正直、以外ですね。

 

 

何が?

 

てっきり先輩から溶接を取ったら、ただのパチンカスしか残らないと思ってました。以外と博識な所があるんですね。

 

お前な~、俺をなんやと思ってるん?

 

パチンカス溶接士



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それともう一つ。
先輩のこういう話って、

 



 

今までの俺の時間を返せ。

 

20年前のJIS溶接試験受験の手引きが!先行き不安な溶接業界にパチンカス先輩が物申す?