Tig溶接は両手を使います。
トーチを持つ手と溶棒を送る手
両方とも異なる動きをするため、慣れていないとギクシャクした動きになります。
溶棒の送りを練習する前にどうしても覚えておきたいのがトーチの動かし方。
第4弾のミッションは、
トーチの振り幅を一定にする
といった、前回より更にワンランク上を目指した内容になります。
早速トライしてみましょう!
準備するもの
例によりスクラップ材でOK。アセトン等で油分、水分は確実に取り除くこと。スミ肉溶接出来るようにT字型に仮付けします。
画像はステンレス鋼SUS316L、15cm以上ありますが、溶接距離は5~10cmあれば充分です。
卦書く
溶棒を定規の代わりにして卦書いてます。油性ペンを使用すると溶け込みが悪くなるので、水性ペンがオススメ。
脚長約3mmのライン
たったこれだけで溶接中の「迷走」は解消されます。
溶接条件
電流は100A
ノズルはNo.6
タングステンは6~7mm出す
重要なポイント
①トーチの角度を一定に保つ
プールとタングステンの距離が近すぎるとタングステンがピタッとくっついてしまいます。また、遠すぎるとプールが不安定になります。
プールからの距離は約2㎜にしたまま進んでいきます。
②脚長を揃えることを意識
視認性の低い溶接中はドコを溶かしてるのか時々わからなくなる事があります。卦書く事により溶かすラインがハッキリとわかるため、「卦書く」というひと手間をかけて練習しましょう。
③リラックス
①、②の条件を満たすためにもトーチを持つ手は力を入れすぎないことが必須。
トーチを強く握ったり前傾姿勢になるとノズルが滑る原因になるので、肩の力を抜き、必ず丁寧に優しくソフトに。
どのくらいソフトかというと、大切な人の耳掻きをするようにです。
とても繊細で微妙な力加減が必要とされますから、決してオラオラァ~はダメ。 無理すると痛くしてしまうので、有るか無きかの反応を逃さずに絶妙なタッチで触るようにする、のが理想です。
自分の持てる感覚全てを研ぎ澄まし全神経を集中させ、僅かなリキみで傷つけてしまわないように、慎重に冷静に動かします。
という感じで、大切な人と指先でコミュニケーションするように動かしてみてください。
④会話をする
溶接中は鋼材に素直な気持ちで語りかけてみてください。
「この強さでいいかい?」
「この方が綺麗に溶けるかもね」
などなど。
え?怪しいヤツだって?
確かに一人でモゴモゴ喋っていると、ぶっちゃけ怪しすぎ。しかし、語りかけるという行為は体の余計な力が抜けてるだけでなく、集中状態に入りやすくなると私は考えてるんです。
語りかけたり鼻歌を交えたりと、心が軽い状態を意識するだけでも結果は変わってくると思いますよ。
素直な気持ちが想いとなり、体に伝わり無駄のない動作となります。
これらを踏まえていざ、溶接!
トーチの振り幅を一定にした溶接画像
100A
130A
150A
170A
最後に
昼休みや空き時間に練習するのはいいのですが、何もない鋼材の上でただ闇雲にトーチの練習をしたところで、得られるのはちょっとの満足感ぐらいのもの。過去の私のようにほとんど成果は得られません。
今回紹介した卦書きをスミ肉や平付けの練習に是非とも活用してみてください。