今回のテーマは
溶棒が溶ける場所を覚える
TIG溶接では両手を同時に使います。
右利きの場合は、右手にトーチ。左手に溶棒。
両手とも異なった複雑な動きが必要となるので、最初から両手を使って練習してもノズルがズルッと滑ったりタングステンがくっついてしまったりと、貴重な時間を成果のない練習に費やすことになります。
なので、順番としてはトーチの動きをマスターする。その次に溶棒の送りです。
ティグ溶接は右手のトーチで鋼材を溶かしつつ、左手で溶棒を送るんですが、この溶棒の送りが超大事。
トーチの振り方より溶棒の送りの方が繊細な動きを必要とします。
半自動溶接ではデジタル制御の送給装置があるくらいですから、ワイヤーの送りがいかに大事なことかってコトは言うまでもありません。
ただここで、確認したいことが一つだけ。
溶棒の送りに目を向ける前に、溶棒が溶ける場所を体で覚えておかないとピンポイントで溶棒を送れないんです。
かといって難しく考える必要はありません。繊細な動きは回数を重ねれば体が勝手に覚えてくれますよ。
棒の送りを制する者はティグを制する
今回は、そのための第一歩を紹介します。
溶棒が溶ける場所はココ
赤い楕円形はプール(溶融池)です。
矢印の先端を目安にするといいでしょう。
溶棒の持ち方は人それぞれ
まず始めに、以下の画像をご覧ください。
溶接棒を中指、薬指で挟む
溶接棒を人差し指、中指で挟む
つまむ
持ち方はどれでも自由です。
自分の持ちやすい持ち方で構いません。次のチャレンジへ。
溶接動画のココに注目
まずはコチラの動画を。
1分16秒~1分37秒の溶接棒の動きに注目です!
前後に数ミリしか動いていないんですよね。私はこの溶棒の動きを【ツンツン】と呼んでるんです。
一見すると「簡単そう!」って見えますが、最初はブレるブレる。腹式呼吸が必須です。
Let'sツンツン!
さあ、ここからは練習ドリルとなります。
溶棒の動かし方①
まずはアークを発生せずに溶棒のみでツンツンしてみてください。
意識することは
「溶棒の先端を3㎜程度前後させる」
のみです。
たった3㎜前後させるだけなのにこんなに神経を使うのか、と思う方は焦らなくても大丈夫です。指先まで神経のネットワークが繋がっていないだけなので、数をこなせば安定してスムーズにできるようになります。
ポイントとしては、溶棒を持つ手を脱力させること。でないとスムーズに動きません。歯を食いしばると力が入ってしまうので、腹式呼吸で静かに呼吸しながらを意識してください。
肘や小指を使って用棒を持つ手を固定させると一層安定します。
溶棒の動かし方②
さあ、ここからは両手同時に。
私は右利きなのですが、⇧では光の都合により左手でトーチを動かしてます。
さあ、以上を踏まえて両手同時に溶接してみましょう!
最後に
「溶棒の送り方」はいろんな方が動画でアップされてるので、自分に合ったやり方は見つけやすいと思います。
つくづく良い時代になったもんだなぁとホッとしたくなるとこですが、見たところで上手くはなりませんのでしっかりとポイントを意識して練習してください。
棒の送りを制する者はTigを制する
溶棒が途切れないということは、理想の綺麗なビードには欠かせない大切な要素。
また何度も言いますが、覚える順序は
溶棒の溶ける場所➪溶棒の送り方
になります。
なので、溶接棒の先端が玉になってしまうという方は、ぜひともこちらをご一読ください。
溶棒の送りに今一つ自信が無い方は、今回紹介したツンツンドリルを是非実践してみてください。
最後のさいごに
元々溶接の才能が私にはありませんでした。
初めて受験したJIS溶接試験はアークの裏板無しでしたが見事に落ちてますし、Tig溶接のパイプではガスの出し忘れで酸化させてしまうということも経験してます。
そんな私が溶接仕事を続けてこれたのは諦めなかったからです。
人よりPDCAサイクルを多く実践した分、上手くいかない方法が自然と身に付き、失敗の無い仕事が出来るようになりました。
もし、この記事を読んでる方で「自分には才能が無い」と思っている方がいたら溶接初心者が溶接上達のために必要な2つのコツを公開に目を通して、是非とも理解を深めてください。
まずは上手く失敗するを意識するだけでいいですよ。
また、今よりワンランク上の溶接を目指したい方は溶接一万時間の経験者がおススメの自動遮光溶接面にも目を通してくださいね。
こちらの記事は、中国人の実習生にティグQuestでローリングさせてみたんですが、、、