TIG溶接ではローリングという用語が出てきますよね。平付けやパイプの溶接でノズルをグルグル回して進んでいくあのローリング。
TIG溶接を始めた頃は溶け込みもわかっていないのにこのローリングばかり練習させられ、ウンザリしてました。
まあ、出来ないのが悔しかったので朝と昼休みにこっそり練習。
あの頃はひたすら回してましたね…。
だからこそ、できた瞬間は「あれ?俺って天才じゃね?」という感じで(笑)、遠回りしたかもしれないけど費やした時間は嘘はつかないと確信しました。
この記事の最後で、そんな自分を振り返ってます。ローリングがなかなかうまくいかない、という方は試しに読んでみてください。
仮付け状態
下向き溶接 110A
6番ノズルで溶接。
タングステンは溶融池から2㎜浮かせてローリングしています。
☝の画像のアップです。
下向き溶接 170A
こちらは8番ノズル。
下向き溶接 155A
☝の画像のアップです。
材質は全てSUS316Lです。
実のところ、今回の溶接画像はそこまで上手いというわけではありません。
強いて言うなら「ソコソコレベル」でしょうか。
もう少しマシな溶接ビードをご覧になりたい方はコチラを⇩
簡単に平付け溶接レベルアップする方法
①継ぎ目の両脇に線を引く
Tig溶接であれば画像のように水性ペンで卦書くと溶接中も迷子にならずに済みます。
溶接中も卦書きが見えるので、ビードの幅を揃えるのが簡単に。
②溝(開先)を掘る
開先が無い場合にグラインダーで2mm程度の溝を設けると溶接時も見やすくなります。
薄い切断刃で削れるので、割と手間はかかりません。
③溶接棒の位置を変える
継ぎ目から少しずらして、溶棒を置きます。👇
突合わせは開先が無いと繋目がホント見えにくい。これで継ぎ目だけを追いかけやすくなりますね。
④遮光プレートを変える
短時間であれば、今使っている遮光プレートの番号をワンランク下げて明るくしてみる。
【例】10番を使用してる場合は9番にする。
大分明るくなりますが、長時間使用するときは目の疲れに注意が必要です。
ローリングのコツは考えない事
私の場合は、思考が体の動きを邪魔してたんです。
平付でローリングする場合、どうしても蛇行してしまい、なかなか思うように溶接できませんでした。考えれば考えるほどうまくできず、超ドン底。
知らず知らず自分の右手に
「まっすぐ進めよ!」
と強制的に脳からの指令を出していたんですね。
「え? 脳からの指令で体が動くって当たり前じゃないの?」
例えば車の通常時の運転中、ブレーキやアクセル、ハンドリング等は無意識に行っています。意識しなくも、経験や慣れで自然に体が反応し対処しています。
同じように、ローリングの練習を十分に積んだ場合だと、トーチを持つ手は意識しなくても勝手に進んでいきます。どう動けばいいのか手は知っているんです。
それを、脳の指令(意識)が邪魔をし、力ませ、ぎこちなく体を動かしてしまうのです。
今振り返れば、私がそうでした。
『こうしなきゃいけない』って
考え過ぎちゃうんですね(/ω\)
なので、一度トーチを持つ手を好きなように開放してみてください。
お気に入りの歌でも歌いながら自由に動かしてみましょう。
気持ちが素直だと、体も素直に動いてくれます。