まずはこちらの画像をご覧ください。
深くエグれてるのがわかるでしょうか?
印を付ければわかりいやすかな。
これを、溶接用語で、
アンダカットといいます。
アンダーカットじゃなくて、アンダカットね。呼ぶのが長くてめんどくさいので、カットでオッケーだよ。
アンダカットとは欠陥のことです。
もともとの母材よりえぐれているってことは、そのえぐれた分の体積が減ってしまっていることになるので、強度も当然下がっているわけです。なのでアンダカットは補修の対象となり、基本的にこのままにしておくことはしません。補修は必須ですよ。
今回の溶接条件は主に、ステンレスのスミ肉溶接で脚長7㎜といった条件で発生したアンダカットについて解説していきます。
①なぜアンダカットになるのか?
②アンダカット防止するには?
③アンダカット補修方法
の順番に解説していきますね。
①なぜアンダカットになるのか?
一つ目の理由はノズルを大きく振りすぎていることが原因です。
脚長7㎜はTIG溶接ではかなり幅が広い部類に入ります。標準タイプの6番ノズルで幅を広げて溶接しようとしてノズルを大きく振りすぎると、アンダカットになります。径の大きい8番ノズル以上を使用すると振り幅が小さくなり、楽に溶接できます。
二つ目の理由は棒の送りが少ないことです。
せっかく幅を広げて溶接しても、加える溶接棒が少なすぎるとカットになります。仮付けでナメって溶接すると表面がへこんでいるのと同じこと、といえばイメージがしやすいかもしれません。最低でも2.6㎜の溶接棒を使って、一振り一振り確実に溶接棒を送る技術が必要です。
三つ目はアンダカットって何?状態
溶接者の知識不足で、何かえぐれてるけど大丈夫っしょ!で終わらせてしまう事。論外ですね。会社の看板を背負って仕事している以上、しっかりと指導しましょう。
②アンダカット防止するには?
ずばり、二層盛りにします。
脚長4㎜が普通に溶接出来る人であれば、4㎜を二つ重ねればいいだけですから簡単にできます。
もし、一層で脚長7㎜を出したかったら、電流は210A、溶接棒は3.2㎜、ノズルは8番を使用して溶接します。
慣れてくると、溶接しながらでもカットしてるかしていないかわかってくるので、溶接中のプールの動きは常に注意が必要です。
③アンダカット補修方法
極力、ひずみが大きくならないように溶接熱を最小限にしたいので、1.6㎜の溶接棒を使用して、二層盛りで補修しました。
これが、
こう。
さらにぐるっと外周を、
補修していきます。
補修してるつもりが、気を抜くとアンダカットしてしまうので、かなり集中力が必要。
数十か所もカットがあるのでこりゃしんどいな。ちと休憩。
もぐもぐ。ゴクゴク。
プハッ。全回復。
この調子ですべて補修完了っと。
というわけで、今回はアンダカットの補修についてまとめてみました。
もし他にも、これはどうしたらいいの?とか、こういう場合はどの方法がベスト?などの疑問質問がありましたら、コメント欄や問合せ欄からお願いします。時間はかかるかもしれませんが、なるべくわかりやすいように詳しく解説していきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。
より良い溶接ライフを!