作業員みんなが気持ちよく働ける職場環境なら、モチベーションや仕事の効率もグンと上がるはず…。とは誰もが思うところです。
かくいう私もその中の一人で、ある日突然、鉄工所の班長になってしまい、自己流ながらも前職時代に学んだマネジメントを取り入れ、職場の改善に力を入れてきました。
しかし、いざ実践しようとしてもなかなか受け入れてもらえず、悪戦苦闘の日々が続きます。と、そこであることを境に私のマネジメントにメンバーが耳を貸してくれるようになりました。
マネジメントとは無縁の溶接業界
むか~し昔の駆け出しの班長時代。クセの強い先輩職人が多く、自分勝手に作業を進めるもんだから、そりゃあ無駄な行程が多くて効率が悪く、お世辞にも組織として機能している状態ではありませんでした。
私が班長になる前は、一年間で三人の班長が交代させられた鉄工所での事です。
職場で飲み会をすることに
何とか職場環境を改善し、皆のモチベーションを上げる方法は無いかと模索してたときに、
『自分達の職場で飲み会がしたいよな』
という、声(先輩職人)があがりました。
【自分達の職場だけで】というのは、以前、親会社主催の飲み会に出席したときに、自腹で出席した私達は散々な思いを経験したんですよ。あんな飲み会だったら、高い飲み代と帰りの代行費用使ってまで行く価値ないよな という心境になっていたわけです。
元々、飲み会は好きなメンバーです。
しかし、田舎特有の車社会で、飲み会の帰りは代行を使って帰らなければなりません。中には市外から通勤しているメンバーもいて、代行の負担額はかなり大きいのです。そこへ料理は出てこない、愚痴は止まらない、話はつまらない、では全く盛り上がるわけもなく、誰だって次行きたいと思いませんよね。
そこで私は自分達で飲み会をするにあたって、会社側に次のような相談をしました。
- ①飲み会の会費を会社に出してほしい
- ②市外通勤のメンバーには帰りの代行チケットを出してほしい
というものです。
①は断られるのを見越して、会費全額がダメなら半額にしてもらい、半額もダメならせめて代行チケットだけでも、と考えていました。
飲み会ですか。いいですね。え~と、それでしたら全額負担しますよ。
ええ。大丈夫ですよ。
そう…ですねぇ…。
市外の人には勿論渡しますが、市内でも相乗りであれば代行チケット出せますよ。
というあっけない流れで、ほぼタダで飲み会を開くことが出来たのです。
メンバーみんな大喜び!
最後に
ずいぶん前の話なので、これを機に、かどうかは定かではありませんが、年上のベテラン職人が多かったメンバーに、こいつやるじゃん みたいな感じで、だいぶ認められたような気がします。
それ以降、年下である私が、メンバーに要求する作業上のボーダーラインや、自分達は何ができるのかではなく顧客が何を求めているのか?の問いかけに耳を傾けてくれようになり、職場改善が良い方向へ転がりました。
職人は個が強すぎるのがネックで、集団で作業するのが弱点になりうる事が時々あります。
しかし、人は弱いものです。
その弱みを中和し、強さへ結びつけ、生産性を上げるのが「親方」や「班長」と呼ばれる人間の腕の見せ所であり、マネジメントの面白さ。
自分の権利、権威だけを職場で主張されても周りは迷惑なだけ。上役には上役の、部下には部下の立場を尊重した態度を示して、初めて妥協点が見つかるのかもしれませんね。
「もしドラ」から始まったマネジメント
マネジメントといえば真っ先に「ドラッカー」が出てきます。手あたり次第にドラッカー関連の書籍を読んでみたものの、小難しい説明文だけではどのように自分の職場にあてはまるのかがいまいちイメージ出来ませんでした。
しかし、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」は、女子高生という主人公を中心に、ストーリーが細やかに展開するので、読み終わった後は、自分が具体的に何をすればいいのかがわかりやすいです。