あれ?アークが出ない…
いざ溶接をしようとしてもアークが出ず、まさか暑すぎたり寒すぎたりで溶接機の故障?と不可抗力を疑ってしまいます。
かれこれ10年以上使用しているダイヘンのアルゴン(ティグ)溶接機は、ほぼ毎日溶接しても一度も故障することなく、こまめな清掃をしてあげればキチンと言うことを聞いてくれます。
メーカーさんの技術の結晶ですから、そんな簡単には故障するような作りになっていません。
そんな時は、うっかり何かを見落としている事で間違いないですよ。
①トーチスイッチが反応するか?
②アルゴンガスが出るか?
③アークが出るか?
簡単なチェック方法をまとめたので、これらを踏まえて続きをご覧ください。
溶接アークが出ない3つのパターン
溶接機本体の故障を疑う前に何を点検すればいいのか、以下の3つのパターンに分けて紹介します。
1.トーチスイッチを押すと『ビー』と音は鳴るがアークが出ずにアルゴンガスは出る
2.トーチスイッチを押すとアークは出るがアルゴンガスが出ない(弱い)→酸化する
3.トーチスイッチの音もアルゴンガスも出ない。アークも出ず、全てが無反応
1.トーチスイッチを押すと『ビー』と音は鳴るがアークが出ずにアルゴンガスは出る
最初にアースが確実に繋がっているかまずは確認します。うっかり忘れていたり、締め付けが甘くアースが外れているとこの症状が出る場合があります。
アースが確実に繋がっている場合、次はトーチスイッチの故障が考えられます。
アルゴンガスが出るのでスイッチは正常に見えますが、スイッチの根元が切れかかるとこのような症状が出ます。
予備のトーチスイッチを付け替えて、正常に作動すればスイッチの故障。変わらなければ溶接機本体の故障を疑います。
2.トーチスイッチを押すとアークは出るがアルゴンガスが出ない(弱い)→酸化する
アルゴンガス元栓の開け忘れで起こる症状ですね。まずは元栓の確認。
元栓が開いてればパワーケーブルの破損によりアルゴンガスが漏れている可能性が高いので、パワーケーブルを端から目視で確認します。
この時、フレキシブルカバーやトーチヘッドの亀裂にも注意して確認してみてください。
パワーケーブルに異常が無くても、念のために予備のパワーケーブルを付け替えて動作を確認します。
同じ症状なら、流量計の締め付け不足や、溶接機本体裏のホース締め付けを再確認します。
3.トーチスイッチの音もアルゴンガスも出ない。アークも出ず全てが無反応
電源の入れ忘れといううっかり八兵衛にも負けず劣らずのうっかり具合を除くと、まず考えられるのはトーチスイッチの故障です。
この場合も、別のトーチスイッチを取り付けて動作を確認します。
症状が変わらなければ溶接機本体の故障が考えられます。
ここまで
以上の3パターンを紹介しましたが、原因として
- トーチケーブルなのか?
- 溶接機本体側なのか?
を、まずははっきりさせます。
単純に、予備のトーチケーブルを付け替えて症状が治ればトーチケーブルが原因となるわけですから、その後の対応も迅速になります。
溶接機はエアーで清掃
私の職場はいわゆる鉄工所ですが、溶接機を長期間放っておくとグラインダーの切粉や埃まみれになってしまうので、年に数回、エアーダスターで清掃を行っています。
特に、溶接機正面下部のコイル部分には、湿気や高温による埃が溜まりやすい箇所があるので、重点的に清掃することが溶接機のトラブル防止に繋がります。
最後に
言われてみればとても単純な事ではありますが、慌ただしい作業中にトラブルになると、つい見落としてしまいます。
溶接機本体にある異常ランプの点灯の有無に関わらず、溶接機本体が故障している場合もあるので、まずはトーチケーブル側か溶接機本体側なのか見極める必要があります。
そのためにも、予備のパワーケーブル一式を在庫としてワンセット準備しておくと、いざというとき安心です。