半自動溶接では一般的に炭酸ガスが使われていますが、屋外溶接、屋内溶接に関わらずガス漏れはシールドガス供給不足による溶接欠陥の可能性が非常に高いです。
ガス切断で使用するプロパンガスが漏れてる場合はイヤ~な臭いがするからすぐに気が付きますが、無臭の炭酸ガスはほとんど気がつきません。なので、みんなは結構無関心で見落としやすい部類に入りますよね。
私自身も、何でガスが弱いのかわかりませんでしたが、「ま、少しぐらいいっか」てな感じで溶接を続けていました。
その内、「少しぐらい」のレベルを超えてガスが弱くなったので、改めて点検することに。
すると、ガス漏れの一つの原因としてオーリングの亀裂がありました。
小さいですね
あまり目立たない炭酸ガス漏れの、さらに目立たない地味なオーリング。小さく存在感が薄い彼らはひっそりとその役割を果たしています。
炭酸ガスチェックの方法
溶接作業に入る前は、必ず送給装置のガスチェックのスイッチを入れて、
ピンぼけすまぬ
- トーチから出るガスの音
- 流量計の目盛り
を確認します。
流量計に対するガスの音は、毎回確認しておかないと強弱がわらないので、音を聞く習慣は欠かせません。
オーリングのある箇所
送給アダプタ
送給アダプタを外すと見えます。
オーリング品番 3574-125
ライナの交換時以外はあまり目にすることの無い箇所ですから、知らない方も多いと思います。
ステンレスのワイヤを使用する場合は、軟鋼のワイヤに比べて非常に固く、ライナが早く消耗してしまいます。その為、ライナの交換で送給アダプタを取り外す回数が増えるわけなんです。キツイところを無理やり取り付けてしまうとオーリングを潰してしまうので、遊びを確認しながら締め付けるとOKです。
トーチボディ
トーチボディにもオーリングがあります。
オーリング品番 3574-001
六角レンチで緩めてからトーチボディの向きを変えて溶接する場合がありますが、これも回数を重ねることによって徐々にオーリングの割れになるので、定期的に点検を。
その他のガス漏れの原因
休憩中等の静かな時に、
「シューーー」と、
ひっそりとガスが漏れる音が聞こえます。
音の方へ近づくと、送給装置の後ろにある接続部からガスが漏れているということが良くあります。手で絞め直せば治まるので、送給装置を頻繁に移動させる場合は注意が必要となります。
不燃性のガスなので引火の可能性はありません。
直接的な災害の危険度は低いですが、些細なトラブルの積み重ねが後々大きなしわ寄せとなり返ってくるので、小さいうちに危険の芽は摘んでおきたいところです。