ステンレス鋼と言えばtig溶接。
Tig溶接と言えばステンレス鋼。
早速なんですが、
皆さんがステンレス鋼をティグで溶接する場合、「さあ溶接スタート!」っていう時に、最初だけ「なぜか溶け込みが悪い」という事ありませんか?
例えば…、
溶接個所にノズルを置く。
↓
溶接面の遮光板を下げる。
↓
スイッチを入れ、初期電流に。
↓
初期電流のアークに向かって溶接棒を近づける。
↓
スイッチを離し初期電流が溶接電流に切り替わる。
↓
溶接棒をプールに向かって送り始める。
↓
プール内に溶棒は入っていくが溶けづらい。
↓
溶けにくいのは最初だけで、あとは普通に溶け込む。
そんな時は、溶接棒*1をよ~く見てください。
(ゲッ‼)
画像のように先端が真っ黒になていませんか?
この状態を酸化といい、今回はこれについてまとめてみたので続きをドウゾ!
なぜ酸化するの?
溶接してて溶けづらいなと感じた場合、
- 溶接個所の油、水分処理が不十分だった?
- ノズルやコレットの極端な汚れ?
- 鋼材が錆びてた?
- シールドガスの流量不足
等の原因も考えられますが、
「最初だけ溶けづらい」となったら
確実に溶接棒の酸化です。
溶接終了時、ノズルの延長線上に溶接棒を置かないと酸化してしまいます。
酸化した溶棒を使うと?
酸化したまま溶接するのは絶対にダメ。
なぜなら酸化個所はすでに金属ではない非金属なので、一見すると溶け込んで見えますが、実は溶けていません。
Φ2mm程度の溶接棒であれば気付きにくいけど、普段Φ2.6mmやΦ3.2mmの溶接棒を使用してると結構あるあるです。
重要な試験や検査などでこんな溶接棒を使ってしまったら、満足のいくベストな結果が得られるかな?
とてもじゃないけど、いい結果は得られないよね。
ただでさえ、溶接個所の始まりと終わりの個所は欠陥が出やすいんです。
(つなぎ目もそうですよね)
溶接棒には、ガスアフターフロー(溶接終了時に出るシールドガスのコト)内でのガスを確実に充てましょう!
酸化してしまったら?
酸化個所を切断するか研磨する事。
酸化を防ぐには?
もちろんシールドガスをあてる。
ガスアフターフロー内でOK。
熟練の溶接職人の方の中にも、時々見かけるんですが、溶接が終わって溶棒をすぐに離してしまう方は要注意。
<対策>
溶接後にスイッチを離した後、ガスは4~5秒間(調整可能)出続けるので、最低でも
2.0mmの溶棒の場合は2秒間
3.2mmの溶棒の場合は3秒間
を目安にシールドガスをあてること。
ガスをしっかりあてた溶棒 。
トップの画像と違うのは一目瞭然。
「検査の時だけガスをあてればOKじゃんw」
いざっていう時は日ごろの行動がそのまま出てしまいます。体に覚えこませるためにも、溶棒にガスを充てるクセをつけておくのは必須です!
おわり
*1:溶化棒、溶棒など呼び方は色々ありますが当ブログでは「溶接棒」と書いています