溶接が上手くなるコツについてコツコツ書いてる弊ブログですが、今回はコチラ⇩からの引き続きになります。
時計回りに溶接すれば事足りるのに、何故わざわざ溶接しにくい半時計回りに溶接する必要があるのか?
タイトルで全て言い終えてることは置いといて、続きをどうぞご覧ください。
まず結論から
溶接時に、母材のポジションを極力変えずに溶接するということは、溶接がやりにくくなるので溶接条件が厳しくなります。この溶接条件が厳しい環境で溶接し続けることが、技術の向上への近道になります。
また、自分の体の移動が少ない溶接方法では作業時間の短縮になるので作業効率がアップします。(ただし、ラップ個所が増えすぎると、かえって効率は下がるので、この辺はケースバイケースですね)
前回紹介した「TIG溶接Lv.28」での時計回りと反時計回りの溶接。溶接技術の向上を目指すなら、難易度の高い反時計回りの溶接を複合した方が上達するよ、ってことです。
工場溶接と現場溶接
工場溶接では現場溶接に比べ、製作モノの向きをある程度自由に変えることが出来るので溶接時の選択肢が増えます。
例えば、上向き溶接や横向き溶接をやり易い下向き溶接にしたり、狭い箇所の溶接が想定される場合は予め仮組みする前に溶接を済ませたりと、工場溶接では自由が利くんですよ。
特に、配管溶接ではフランジの内側を下向きで溶接したり、回転治具(ポジショナー)で配管外周を下向きで溶接します。
一方、現場溶接では狭いうえに入り組んだ場所での作業が多く、溶接箇所の向きは変えられませんし自分の動きも制限され不自由になります。
工場溶接では10分で終わる作業が、現場では30分以上かかったりすることもあります。
つまり、現場ではその不自由さの中でやるしかないのがデフォなんです。
溶接条件が厳しい
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選択肢が無い
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やるしかねぇ!
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あれこれ思案し試す
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技術が向上する
現場作業の方々の知識や技術の引き出しが多いのは、このPDCAサイクルが影響しているのは確かですね。
PDCAサイクルについては溶接初心者が溶接上達のために必要な2つのコツを公開に目を通してくださいね。
「制約と誓約」が面白い
HUNTER✖HUNTERの中に「制約と誓約」という理論があります。
制約とは条件やルールの事。
誓約とは心に誓う事。
私が左手で溶接するようになったのは、確かこれを読んでからだったと思います。
何故かって?
なんとなく上手くなるかもしれないと思ったからです(笑)なんとな~くね。
工場製作では左手で溶接する必要性は全く無いのですが、自分で「左手しか使えない状況」だと仮定し作業してみたんですよ。(←制約)
勿論最初は上手くいきません。
作業に支障が出ないようにTig溶接練習ドリルをこなしながら、左手のレベルを上げていきました。
溶接個所が10箇所あれば1個所は必ず左手で溶接する。(←誓約)
やってみるとこれがまた、
超面白いんです!
左手で溶接する前は、
自分の伸びしろはもう残ってないだろうな…
って思っていたんです。
しかし、実際にやってみると…、
うわ!俺って全然まだまだじゃん(喜)
になるんです。
自身の上達を感じられる瞬間のウハウハは最高ですね。
最後に
溶接仕事の最大の敵に「飽き」があります。
私が長年溶接仕事をしていて今も尚『溶接が楽しい』と言い切れるのは、仕事の辛さや達成感を共有できる職場の仲間と、伸びしろがまだまだある自身の未熟さだと思ってます。
乗り越える障害が高い程、燃え上がる恋のように、溶接条件が厳しいとやる気が湧いてくるのかもしれないね(笑)