忘れたい苦い思い出ほど、色褪せずに残っている。
溶接の仕事をしている人なら、一度は聞いたことがあるJIS溶接試験。
合格ならば給料アップ?
落ちたら皆のお笑いネタに?
今回は私の恥ずかしい失敗談です。(ええ、落ちましたとも)
書こうか書くまいか迷ったんだけど、いまだに悶々としたものがあるので、思いきって書いちゃいました。
ふとした時に甦る苦い記憶。
『こんな失敗しなきゃ良かった』
っていう内容なので、皆に笑ってもらえると成仏できそうです(笑)
[:contents]
JIS溶接試験TN-Pを受験
「基本級」と「専門級」のうちの専門級。
Tig溶接でステンレスパイプをグルッと一周します。
下向き、横向き、上向き、
全姿勢ミックスで60分程で溶接するんです。
…で、問題なのはバックシールドと呼ばれるヤツね。
バックシールドとは?
試験用パイプの内側に「アルゴンガス」っていう不活性ガスを充填させて溶接するわけです。
これを「バックシールド」や「シールドガス」と呼んでます。
裏波溶接といいます
パイプの外側を溶接してるのにアラ不思議。
パイプの内側も綺麗な溶接ビード(裏波)が出てるじゃありませんか。
チャンチャンッ🎵
要はルゴンガスをパイプ内に充填させて裏波ビードの酸化を防ぐのですが…、
よりによってアルゴンガスの栓を開け…忘れ…た?
…見て凍り付く
セミの大合唱がBGMの季節
溶接後の汗だくのまま、パイプを密閉してる蓋を開けると、本来は綺麗な綺麗な、それはそれは綺麗なビードが見えるはずなのに…、
…真っ黒なんです。
アルゴンガスの充填が不十分、または充填されずに溶接個所が大気にさらされることを「酸化」といって、いわゆる欠陥。
業界用語で【花が咲く】状態。(綺麗に聞こえるけど欠陥🎵)
見た瞬間、そりゃ慌てて蓋をかぶせるよ。
「もしかしたら見間違いかな?」
なんて恐る恐る蓋を開けるんです。
もう一度見るんです。
花が咲いてるんです。
恐怖のシュウマイどころじゃないんです。
再び蓋を閉めるんです。
「目が疲れてるのかな?夢かな?」
自分をごまかすんです(汗
蓋を開けるんです(汗
花が咲いてるんです(汗汗汗
現実なんです…。
全身の汗がゆっくりと冷たくなる感覚までは記憶に残ってて、あとは気が付いたら帰りの車の中。
運転中、
自分の不甲斐なさに我慢できず、
「ウオ"ォォォォ~~」
とエヴァ初号機並みの咆哮を、眩しい空に向かって一発。
…涙があふれた。
(堪えたけどね)
溶接試験不合格の理由
その①
当時のルールで、試験毎にアルゴンガスボンベのコックを締めることになってて、次に使う人がコックを開けてたんです。
当然私もシールドガス用のコックを開けました。
はい、100%開けましたよ。
なのに花が咲くのは何故かって?
それはね…、
もう一つの開閉式レバーが手元にあったんです。
指でつまんで90度回すやつね。
もうちょっと自己アピールしてもいいでしょっ!っていうくらい、可愛くちょこんと鎮座してたのよ。
…そういえば試験開始前に説明受けてたっけ。
(;^ω^)
その②
勤務先の工場は集合装置で、一度栓を開けると全工場に行きわたり、個人で開閉する必要が無いのね。
慣れって恐ろしくて、一度作業に取り掛かるとアルゴンガスは出てると思い込んでるから、手元の開閉レバーの事なんてもう忘れてる。
緊張感に負けないよう、
集中すればするほど、
身体はいつも通り動きます。
結果、レバーを開けるの忘れてる…。
(おいおい)
最後に
ふとした瞬間に10年以上前の苦い記憶がフラッシュバックします。
人に話せない悶々とした失敗は、自分を苦しめるだけなので、周りの人に話すのがスッキリするコツかと。
これを読んで、
「この程度の失敗、俺もしてるよ」
という方は、コッソリ教えてください。
苦い思い出はシェアして一緒に成仏させましょう(笑)
ちょっとでもクスッとしていただけたら、尚更成仏できそうです。