溶ラリ

Tig溶接クエストでLV.99を健康的に目指すブログです

スポンサーリンク

Tig溶接LV.48 実感!アルミのティグ溶接はやっぱり難しい…直ぐ溶けて直ぐ穴が開く

私の本職はティグ溶接でステンレス製品を製作すること。他の溶接といえば、たま~に半自動溶接で軟鋼を溶接する程度なんです。

 

つい最近の事。

 

突然アルミの溶接を頼まれたのでさあ大変。

 

アルミを溶接したのは多分四年以上前になるので、アルミ溶接の感覚は綺麗サッパリ忘れております。

 

同じティグ溶接でもアルミとステンレスでは鋼材の性質が全く異なるので、ステンレスのティグ溶接ができるからと言って、ヨーイドンでアルミの溶接が出来るわけではありません。

 

ある程度の知識も必要になるので、軽くおさらいしながら進めることに。

 

さてさて、どうなることやら…。

【目次】

繁忙期の突発的な依頼

皆さんも経験があるかと思いますが、これでもかっていうぐらいめっちゃ忙しい時に限って仕事って増えますよね~(苦笑い)

 

「SSさんてアルミ溶接出来ましたよね?」

 

今めちゃくちゃ忙しいので、出来ないことにしておいてください 

 

いつもの顔見知りのスタッフなので、冗談混じりでやんわりと断ることに。

 

「薄物のアルミらしくてあっち(他県)の工場じゃ誰も出来ないみたい。それじゃ、物が届いたらまた連絡するのでよろしくお願いします!」

 

き、聞いてねぇ

こちらの話はお構いなしの優しいやり取りを終え、渋々やることに。

 

なので若干ヤサグレております。

アルミの性質

アルミはステンレスと何が違うんだっけ…?

  • 融点
  • 熱伝導率

を検索🎵検索🎵 

SSめたるしらべ

アルミニウム

ステンレス

軟鋼

融点 ℃

約660℃

約1470℃

約1530℃

熱伝導率 W/m/k

237.0

16.0

80.3

 

ステンレス専門の私から見ると驚くべきはアルミの熱伝導率の高さです。

ステンレスを1とすればアルミは約15倍も熱が伝わりやすい。

  

実はここがアルミ溶接が難しいと言われるところで、ステンレスや軟鋼の感覚で溶接した場合、『溶けたなっ🎵』て感じてると、急にボタッ💦と溶け落ちてしまうんです。

 

見てから動作に移すと遅いので、ものすごい集中力が必要です。

 

例えると、

小皿いっぱいに醤油を満たして運ぶのと、ソースを満たして運ぶのでは、粘性の低い醤油の方が神経を使う、と言えば分かっていただけるでしょうか?

 

ましてや薄物となると、ありったけの集中力で挑まなけれなりません。

 

ま、何とかなるかな。

ティグ溶接機の設定変更

ダイヘンのティグ溶接機INVERTER ELECONでは、ステンレス鋼や軟鋼を溶接するときは直流(DC)に、アルミを溶接するときは交流(AC)に切り替えます。

 

ダイヘン製ティグ溶接機でアルミを溶接

アルミ溶接なのでパネルを開いてACスイッチをポチッと。

※ティグ溶接機正面にINVERTER ARGOと標記している溶接機は直流、交流の切り替えスイッチが無いので、アルミ溶接は出来ません。

依頼されたアルミ製品

事情により全体はNGなので一部分だけ。
f:id:ssmetal:20180915122128j:image

 

全てがアルミ製で厚さ1㎜。経年劣化で薄いところは0.5㎜以下に。

 

修理内容は大きく以下の2つ

  • パックリと裂けているのを繋げる
  • ボルト用の穴を埋める

 

アルミの溶接棒は2㎜しか無いけど、まあ何とかなるかな。

 

まずは隙間を計測

アルミをティグ溶接

薄板を溶接する場合は、トーチの角度、タングステンの長さ、溶接棒を入れるタイミング、電流、全てが一致しないと隙間が広がるばかりでお手上げ状態になります。

 

最悪なケースは穴が広がりすぎて修復不能になること。それは避けなければなりません。

慎重にかつ大胆に作業を進めることに。

 

、、、

 

この難易度ヤバい!

俄然ヤル気出てきた!!!

 

作業の目処は立ったので、深呼吸して始めます。

アルミの薄板をティグ溶接する 

電流は130Aでアークを切りながら断続的に進みます。

 

  

ボフッ!

 

 


f:id:ssmetal:20180916085101j:image

極端に薄くなってるところはどうやっても穴が広がります。
 

 

ボフッボフッ!

 

 

 

お構い無し。

アルミはステンレスと違って裏側は酸化しないので、ひたすら溶接棒で埋めていきます。

 

 

その後もボフボフ響かせながら神経を集中させます。

 

 

お、段々とコツが解ってきた⤴️

アルミをティグ溶接


 

 

交流溶接でタングステンがこんなになっても続けます

アルミをティグ溶接

 

 

 

隙間埋め終了

アルミをティグ溶接


 

 

次はボルト用の大きな穴を埋めます。

アルミをティグ溶接

 

コツは掴んだので 

ほいッ

 

アルミをティグ溶接

大人の事情により、お見せできるのは残念ながらここまでになります。

 

溶接が終わったら軽く研磨。

 

夢中になるとあれもこれも気になって手直しをしたくなるところですが、ここで求められていることは穴が塞がっていれば問題無しという点なので、必要以上に綺麗に仕上げることはあえてしません。

アルミ溶接の要点

アルミ溶接で気が付いたポイントと感想を以下にまとめます。 

溶けるのも冷めるのも早い

さすがアルミの融点と熱伝導率。

ステンレスと違って直ぐ溶けるし、熱が逃げる逃げる。

溶接後すぐ冷めるので歪(ひずみ)に気を使わないで済みます。

 

しかし直流のステンレス溶接と違い、交流の溶接ではすぐにタングステンの先端が丸くなり、アークが常に不安定になります。溶融池が見えない!

 

この融点と熱伝導率と交流が、アルミ溶接の難易度を上げているのも頷けます。

作業が終わった途端に疲労感がカラダ全体を襲ってきました。

失敗しても以外と手直しが効く

溶接時の酸化被膜が半端なく強い?

酸化現象が無いのでモリモリ盛れます。

ステンレスに比べ穴埋めが楽ですね。

  

グラインダーが目詰まりしやすい

#36の砥石と棒グラインダーの超硬バーを使用したらすぐに目詰まりしました。

 

難易度は最上級レベル

難しいとはいっても、ティグ溶接でツンツンドリル溶接棒を溶接が出来る人なら少量の練習でコツを掴めると思います。

さいごに

今回はアルミの薄物を溶接しました。

 

慣れない作業で集中力が続かず、2時間ほどでクタクタに。

改めてアルミの溶接職人の凄さが感じられた貴重な体験でした。

 

次にアルミ溶接するのはいつになるかわかりません。

なのでちょっとでも感覚を思い出せるように備忘録を兼ねてまとめてみました。

 

ではでは、

より良い溶接ライフを!

ティグ溶接上達へのミッション~最初の13ヶ月でやるべき事~ - 溶ラリ