脚長とは?
下の図は溶接個所の断面図です。色を塗った個所が鋼材を表し、白い三角形が溶接ビードとなります。
ビード断面を拡大すると下図のようになり、溶接ビードの縦と横の長さを脚長(きゃくちょう)と呼びます。
脚長の長さは図面上で指示されますが、記述が無い場合は一般的に鋼材の厚さの70%程度となります。
〈例〉鋼材の板厚6mm同士の場合、脚長は約4.2mm
斜めの長さと間違えないようにね
TIG溶接は脚長不足に注意が必要
アーク溶接、半自動溶接は目立たないけど、TIG溶接はビードが垂れ下がりやすいので縦の脚長が確保しにくい特徴があります。横の脚長が確保できても縦の脚長が不足している場合は「脚長不足」となり溶接欠陥とみなされるので注意が必要です。
脚長(大)は他層盛りで
脚長指定3~5㎜程度であれば問題は無いのですが、ティグ溶接で8㎜以上、半自動溶接で12㎜以上の脚長を確保したい時は、他層盛りにします。無理に一回で盛ろうとするとアンダカットやのど厚不足になります。
のど厚(あつ)とは?
のど厚は理論のど厚と実際のど厚があり図の示す長さの事を指します。
何故ティグ溶接ではのど厚不足になるのか?
下図のようにティグ溶接ではのど厚が凹むのが特徴です。
脚長が8㎜を超える場合の一層盛りは、脚長はクリアできても、のど厚の凹みが顕著になるため、外観的に欠陥とみなされる経験がありました。
多層盛り等の対応が必要となります。
ティグ溶接ではのど厚不足になる傾向に。
画像の板厚は6mmです。
溶け込み不足があると理論のど厚が確保できないよねって話。
半自動溶接では電流設定が適正ならば、のど厚が凹むことはまずありません。
「脚長」のチェックが厳しい製品と、そこまで必要とされていない製品があります。
ここまでで紹介している基本的なことを踏まえておくと、状況に応じて使い分け出来るので、是非とも覚えておくようにしてください。
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