技術は見て盗むもの、とは昔から良く耳にする言葉です。
先輩職人からも度々言われていた時期がありました。
実際にティグ溶接歴が10年を越えた時期から、私自身この言葉の重みが分かったような気がします。
というのも、経験が長ければ長くなるほど「自分の溶接技術はコレで限界かも」と思う瞬間があるんです。
そこを乗り越えられたのは周りの職人さん達を良く観察したから。まさしく技術を見て盗んだからなんですよね。
しかし、経験の浅いルーキーに人に聞かないで、目で見て盗め!と言ったところで、
「……何を???」
と思われるのがオチなんですよ(ToT)
この見て盗むにもスキルが必要で、漠然と見るだけでは何も成果は得られません。
また、溶接レベルに応じて盗むべきポイントも違います。
そこで今回は、溶接技術の誰にでも見て盗める簡単なポイントを3つ挙げてみました。
溶接電流の目盛りを確認
参考にしたい職人さんが何Aで溶接しているか知りたい場合、その人が溶接している最中に溶接機本体のメーターを見ることです。
目盛りは150A⇩
リモコンのダイヤルは正確ではありません。
特に、トーチケーブルを延長して使用していると、ダイヤルの目盛りと溶接機本体の誤差は大きくなります。
コレを踏まえて、現場などではやや高めの溶接電流に設定します。
これに気づいてなかったり忘れている場合、溶接している本人も勘違いで教えることもありえます。
なのでコッソリ溶接機のメーターを盗み見しちゃいます。
コレが一番確実です。
タングステンの長さを測る
コレですね⇩
タングステンの長さが1㎜でも変わると、溶接ビードは変わります。
脚長やのど厚にも影響するので、慣れるまではタングステンの長さを計測して微調整しましょう。
経験豊富になると自分の感覚で長さを調整します。
なのでベテランの方に質問する、というよりは「参考までに見せてください」と聞いてから、自分の目で確認しましょう。
溶接中に後ろから観察する
参考にしたい!と思った職人さんの、
- トーチの動かし方
- トーチの持ち方
- 手首、肘、腕の使い方
- 溶接棒の使い方
などを、後ろからじっくり見ます。
体をどう使っているのかを部位ごとに観察し、自分の動きに取り入れます。
溶接面越しに、溶接プールばかり観察しがちですが、実は一歩引いて視野を広げると、今まで気が付かなかったことに新しい発見があります。
最後に
上に挙げた3つのポイントは、全て自分の目で見て確認する事です。
これが、技術を盗む際の最初のステップとなります!
何を盗めばいいのかわからないという方は、今回紹介した3つの例を試してみてください。
そして、良くものを見るとはどういうことなのか、こちらの記事もご一読ください。